高齢者施設の現場では、普通なら何でもないことが、重大な事故につながるケースがよくあります。したがって介護職として仕事をするにあたっては、日常で頻発する事故の種類や原因について十分理解し、事故を未然に防止することが求められます。
まず介護の現場で最も多いのが、転倒による事故です。転倒とは、バランスを失って足以外の部分が路面等に着いた状態のことをいいます。例えば、車椅子やポータブルトイレがそのまま転倒するケース、あるいはトイレや浴室で介助をした場合の転倒、さらに靴を着脱している最中に転倒するケースなど色々なシーンで起こり得ます。そのため、介護士は常に細心の注意を払うこと、そしてあらゆる技術が必要になってくるのです。
高齢者施設の現場では、食事も事故が起きる原因となり得ます。誤嚥や誤飲はその典型例です。一般的に誤嚥や誤飲をした場合には、むせて終わりですが、もともと身体が弱っている高齢者になると、一時的に呼吸が停止したり、チアノーゼ反応が起こることもあるため、介護士は素早く適切な処置が求められます。
また、介護の現場では、異食についても注意しなければなりません。異食とは、本来食物ではないものを口に含んだり、完全に食べてしまうことを指します。高齢者の中には判断能力が鈍っていたり、認知症を患っていることも珍しくありません。そのため、石鹸や洗剤あるいはタバコや乾燥剤など、あらゆるものを食べてしまうこともあり得るのです。そのため、施設内では異食が起きないような環境を作っておくことが重要になってきます。